昨今の人手不足と資材高騰により上場建設会社は利益を圧迫されていたが、増加コストの転嫁が進み今後は増収増益を予想しているため、軒並み株価が伸びている。
そんな中、三井住友建設だけは株価が低調であるため調べてみました。
・当社の業績が芳しくないのは、麻布台ヒルズに絡む損失約750億円が原因である。しかし、当該工事の底がようやく見えてきた。
・当社の事業は土木と建築の二本柱。土木事業の業績は堅調である。建設事業は増加コストを転嫁させた高利益率工事の案件に入れ替えが進んでいる。
・麻布台ヒルズに絡む損失計上により自己資本比率が10%台と危険水域であるが、業績見通しの改善により業績を上方修正している。来期からは黒字を見込む。
・村上ファンドにより株式約26%を保有されている。自己株TOBによる税務メリット(受取配当益金不算入)が享受できる34%まで買い集める可能性は高い
・昨年2月に大規模工事損失を招いた前経営陣に対するクーデターが実施される。現経営陣は株主還元を強化しており、子会社であった株式会社免制震ディバイスの売却も実行。現経営陣は、村上ファンドの意向を汲んでいることが想定される。
<想定株価ストーリー>
・ファンダメンタルは業界全体で回復傾向(競合である準ゼネコンのPER約15倍)
・当社の大規模工事損失の影響を除いた修正PERは9倍(2025/2/28時点)
・PERが15倍まで伸びると仮定し、今期の大規模工事損失も加味して50%ほどのリターンが見込めるか(想定株価620円)。本業が回復傾向なので継続保有でもOKだろう(2025/2/28時点)
・PBRは1倍と他社と同程度であるが、それは大規模工事損失により純資産が減少したため良好に見えるだけである。大規模工事損失の影響を除いたらPBRは0.7倍ほどだろう。
・継続して余剰有価証券の売却が進む。加えて子会社の売却も実施される可能性あり(特に上場子会社の三井住建道路の売却)。当該売却代金を株主還元するならば、ROEは改善し、さらなる株価向上に繋がる可能性あり。
・次の理由により、当社が競合他社の傘下に入る可能性あり。想定株価は適正株価にプレミアム20%加算を考慮して744円程度、80%ほどのリターンが見込めるか(2025/2/28時点)
<村上ファンドのエグジットストーリー>
・現在、村上ファンドは26%ほど保有しており、当社の時価総額や流動性を考えると市場で売り抜けるのは困難。
・村上ファンドが当社に自己株TOBを迫るにしても、そもそも株価が上がっていない(自己株TOBは通常のTOBとは異なりディスカウトTOB)、かつ、現在の手許現金も心許ない(余剰有価証券や子会社を売却しても原資としては足りない)
・村上ファンドが過去に投資した大豊建設【1822】のように、当社を手に入れたい他の買い手(麻生)に第三者割当増資を実施させて、当該資金で自己株TOBを実施する可能性が高い
フジ・メディア・HD【4676】への投資は投機に近いが、建設市場の好転を考慮すると当社への投資は投資に近いだろう。
<話は大きく逸れて大豊建設>
・村上ファンドはエグジットしたはずの大豊建設になぜか投資を再開している。約18%保有。
・過去に自己株TOBを2回実施させた事例が村上ファンドにはある。自己株TOBを2回実施した経営陣の気持ちを考えずにはいられない。
・とはいえ、過半数株主である麻生がいる状況で34%の買い集め(残り16%)は株価が上がり続けて取得金額が高騰してしまう。
・仮に村上ファンドが残り7%買い増しすれば麻生の50%と合わせて75%超となり、流通株式比率25%以上(スタンダード市場)を満たせなくなり上場廃止となってしまう。上場廃止をネタに大株主の麻生にTOB(非上場化)を迫るのだろうか。来年の3月~5月頃までには行く末が決まるだろう。

・過去に第三者割当増資をした際の価格(4750円)に比べて現在は株価が下がっている(3/3時点 3670円) 。もし麻生によるTOBが実施され、過去の第三者割当増資時の価格まで株価が上がると仮定すると想定リターンは30%ほどだろうか。
・しかしながら、村上ファンドを後追いするには大豊建設の株価はそこまで割安とは思えない。
・加えて、TOB価格が当時の第三者割当増資時の価格以上になるかは定かではない。村上ファンドがTOB価格に納得せずTOBに応募しなければ、村上ファンドが株主のまま非上場化するのだろう。村上ファンドは非上場化後に相対で取引ができるが、個人株主では難しいのでTOB価格で売却するのが筋だろう。
※ 投資は自己責任です。
2025.5.14 インフロニアHD TOBで三井住友建設買収
