8/8の Q1決算発表により株価が10%超下落したミダックホールディングスについて調べてみました。
<大平興産を子会社化>
- 4/11 千葉県内で管理型最終処分場を運営する大平興産株式会社を子会社化するリリース
- 長年、最終処分場を運営してきたミダックによる目利きであり、きっと筋が良い案件だろう。これまで大平興産の少数株主だったためしばらくウォッチしてからの子会社化である。
- 売上高1,466百万円、営業利益258百万円、純資産は5,659百万円にもかかわらず、取得金額は僅か100百万円。最終処分場であるため、簿外債務を考慮しての買収金額だろう。
- 8/8 Q1決算発表。業績は予想通りであり株価が暴落する理由はない。暴落した理由は、大平興産買収によるBS悪化が原因だろう。
- 取得金額100百万円に対してのれん2,562百万であり、実質的な買収金額は2,662百万である。その内訳は、純資産5,659百万、最終処分場維持管理引当金▲4,326百万、特別修繕引当金▲1,166百万、差額▲2,295百万は税対策として退職金で支給か?
- 検討すべきは今回の買収金額が妥当であるかどうか。これまで計上されていただろう高額な役員報酬などを除くと最終処分場の営業利益率は50%程度ありそう(最終処分場を営む連結子会社の㈱ミダックの経常利益率は約50%)、そして減価償却は既に終了していると仮定すると、EBITDAは売上高1,466百万円×営業利益率50%=733百万、EBITDA倍率=実質的な買収金額2,662百万÷EBITDA 733百万=3.6倍と最終処分場を手に入れるにはかなり割安なディールと思料。
- 最終処分場のメチャ高い利益率を考慮せずに、のれん2,562百万、最終処分場維持管理引当金▲4,326百万、特別修繕引当金▲1,166百万などがミダックのBSにオンされると恐怖で売っちゃうかもしれない。
- 産業廃棄物排出量の26%占める最大市場の関東エリアへの足掛かりとなる今回の買収は喉から手が出るほど欲しい案件だっただろう。
<ミダックホールディングスについて>
- ミダックという社名は、「水」(ミズ)、「大地」(ダイチ)、「空気」(クウキ)の頭文字を組み合わせたもの
- 2025/3期 売上10,905百万、経常利益4,450百万(経常利益率40.8%)、利益率は非常に高いが、装置産業である当社で見るべきは資本利回りである。
- ROEは 20.3%と高い資本利回りである。自己資本比率は54.1%と妥当なレバレッジである(大平興産の買収によりQ1は47.7%に低下)
- まるでAmazonの如く、稼いだキャッシュのほとんどを投資に使っており、非常に積極的な設備投資とM&AでBSはどんどん膨れ上がっているが、売上と利益も比例して伸びている。プレーヤーが細分化されている産廃業界は、M&Aによる寡占化が進んでおり、米国と同じようにM&A巧者が生き残ると思料。
- 2015年に株式会社三生開発を完全子会社化した際は、当社の総資産に相当する買収金額であり、昔からかなり攻めの経営である。
- 業界トップの大栄環境は関西がメインエリアであるが、当社のメインエリアは東海地方でありポジショニングは良い。そして、今回の大平興産の買収により関東エリアへの足掛かりを得た。ちなみに大栄環境も関東エリアに注力する方針である。
- 栃木、福島、島根にも管理型最終処分場を計画しているが、最終処分場を開設できるかどうかはリスクが高く最後まで分からない。もし開設できないとなれば、それまでに発生した費用はサンクコストとなる。もし開設できればドル箱となる。
- 良いかどうかはさて置き、産廃業界で当社ほど攻めの経営をしている会社は無いのではないか。
<ミダックホールディングスの分析>
- 当社の成長ストーリーは、設備投資とM&Aによる規模拡大であり、ロールモデルは大栄環境である。そして、大栄環境のロールモデルは米国のウェイスト・マネジメントとリパブリック・サービスである。
- 当社の競争優位は、最終処分場を有することである。最終処分場には処分費用の価格決定権があり、かつ、最終処分場を有することで収集⇒中間処理⇒最終処分と一気通貫で産廃処理が可能となりビジネスの幅が広がる(一気通貫でないと受託できないこともある)。そして、その競争優位は最終処分場が埋まるまで数十年もの期間に渡り続く。しかし、埋まった後の管理費用として最終処分場維持管理引当金を事前に積み立てる必要がある。
- 土壌への影響や地元住民への対応など、最終処分場を開設できる土地は少なく、参入障壁は非常に高い。
- 当社は、2032/3期までに売上高400億(残り7年で現状の4倍、かなりハードル高いのでは?)、経常利益120億(経常利益率30%)と規模の拡大を目指している。利益率は現状の40%から下がる。とはいえ、上場企業が目指すべきは、売上高というトップラインを上げることでもなければ、高い利益率を維持することでもない。経済的付加価値を創出して株式価値を上げることである。利益率を犠牲にしてでも、創出される経済的付加価値を拡大することは間違っていない。
- 産廃業界は景気の波をあまり受けない業界であり安定しているが、昨今は温暖化の影響で自然災害が増えてきている。災害廃棄物の処分に最終処分場は欠かせないため、これまで以上に需要が増えると思料。
- 当社の理論株価は、将来の成長率をどうするか?設備投資をどうするか?で株価が影響を受けるが、2025年8月13日現在の終値2032円は適正株価の範囲内と思料
※ 投資は自己責任です。
